昔の百姓の知恵

      『あぜ豆』とは・・・

小川町に来る前、長野県で暮らしていました。その頃、近所の農家の方から「これを知っているか」と言われたものがあります。あぜ豆でした。当時はもちろん知らなかったので「知らない」と答えると「この辺じゃ今でもこうやって大豆を作るんだ」と教えてくれました(といっても20年位前の話ですが)。

 あぜ豆とは字の通り、田のあぜで大豆を栽培することです。なぜそんな所で作るのかというと、狭い耕地を有効に使う知恵なのでしょうが、実はあぜに作ると豆が良くできるのです。大豆というのは水を大量に必要とする作物で、特に開花期に乾くと収量が落ちますが、そんな時でも田には水がありますから、大豆はそっちに根を伸ばし確実に実をつけるのだそうです。大変合理的な技術だと知りました。しかし草刈は機械が使えず収穫も斜面でしなければならず、重労働のため今ではほとんど見られなくなっています。

 そんなあぜ豆のことを考えれば今の百姓は楽なもので、でっかい田んぼが三割も四割も遊んでる(休耕中の)中、機械に乗って大豆栽培ができる時代です。あぜ豆を考え出した百姓の心意気は忘れてはなりませんが、全く違う発想が必要だと思います。田のあぜではなく田に大豆を作るメリットはあります。開花期に乾いても水を入れることができますし、草もあまり出ず、田も肥えます。

 あぜ豆は昔の百姓の知恵でした。今同じことはできませんが転作田にうまく大豆を作ることで田をより有効に活用できるようにしたいと今の百姓は考えます。

                                                                          河村岳志
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